予防的歯周病治療という新しい考え方

予防的虫歯治療のブログでも説明しましたが、日本で一般的に行われている予防処置は、あくまでも病気ではない状態に対しての病気を防ぐ処置です。ところが、歯周病は「ここからが歯周病です」と言えるほど、健康と病気の明確な境界線はありません。

特に、一般的に行われている定期的に歯医者さんで行うクリーニングのPMTCは、ほとんどの場合は虫歯予防がメインです。すでに歯周病の進行しつつある部分に対しての予防としては、それほど効果がある処置ではない場合がほとんどだと思われます。

歯周病で将来歯を抜かないように守るためには、単に歯の表面の汚れを取り除くだけではまったく役にたちません。歯周病が進行する原因は大きく分けて3つ考えられます。

一つ目は全身的な病気による歯肉の免疫力の低下や、血行不良、薬の副作用など。この対策は別の機会に説明することとします。

二つ目は細菌による炎症。これは細菌の量や種類の問題です。これはほかの二つの原因にも多かれ少なかれ影響を与えます。

健康な歯肉ではほとんど存在しないような歯周病菌が、それほど歯周病の症状がないのに増えて来ている場合、どこかに歯周病の繁殖する場所があるはずです。比較的初期の歯周病でありながら、非常に強力な歯周病菌が多く存在する場合は、その場所を見つけて健康な状態に戻す処置と、歯周病菌を殺菌する処置が効果的です。また、歯周病菌が多くなくても、歯周ポケットという歯と歯肉の隙間が少しずつ深くなってきている場合は、健康な深さに回復させておかないと、隙間の中に菌が繁殖して、隙間が次第に深くなってしまう場合が多くあります。

三つ目は歯にかかる力が強すぎるために起こる、骨の吸収です。この三つ目はまだ、ごく一部の歯科医院でしか対処されていないのが現状だと思いますが、歯を失う原因としては、非常に大きな要因となります。これを防ぐためには、ごく初期の変化を見落とさないことが大切です。

患者様自身は気づかないほどですが、歯が少し揺れ始めた時、かみ合わせの高度な専門技術を持ち合わせた歯科医師であれば、全ての歯のバランスを整えることで、それに対処出来ます。
これに気づかず、放置してしまうと、5年、10年とほんの少しずつ骨が溶けて行って、本人が気づく程度まで進行してしまうと、骨が元に戻ることはほとんどありません。
これをいかに早期に見つけて、適切な対処をすることがとても重要です。予防的歯周病治療は、まだ症状がなく、普通は歯周病とは気づかれにくい初期の状態に対して、専門的な知識を持ち合わせた歯科医師が行う患者様に優しい治療です。

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