歯磨き粉の選び方(2)化学物質が心配?

界面活性剤

歯磨き粉を嫌う人の多くが嫌がるのが、歯磨き粉に配合されている化学物質。
その中でも特に注目されているのが「ラウリル硫酸ナトリウム」。
いわゆる界面活性剤と呼ばれるもののひとつで、汚れを浮かせる作用があります。
発泡剤としての機能もあり、市販のシャンプーやボディソープにも配合されている成分です。

化学実験の際、人工的にガンを作るために実験動物にラウリル硫酸ナトリウムが注射されることもあるそうで、発ガン性物質なのではないかと騒ぐ人も少なくありません。ただ、2007年現在までIARCやNTPの発癌性リストに載ったことはなく、必ずしもガンを引き起こす物質だとは言えません。

人工的にガンを作るためには、私たちが日常的に食べている「醤油」を注射することでもガンを作ることができるのだそうです。どんなものでも使い方を間違えるとガンを引き起こす可能性があるのです。

界面活性剤を排除した生活をするためには、歯磨き粉だけではなく、市販のシャンプーも、台所洗剤も使えなくなりますね。

防腐剤

歯磨き粉は一度で使い切るものではないので、ほとんどの商品に防腐剤が添加されています。
代表的な成分としてはパラベン、安息香酸塩などです。防腐剤は体に悪い、
というイメージもありますが、商品の劣化・腐敗を防ぐには防腐剤が必要になのです。

これはある歯磨き粉メーカーの研究所長さんがおっしゃっていた話です。
「防腐剤を使わない商品を作ることも可能です。
ただ、防腐剤を入れない歯磨き粉は歯ブラシで直接触らないようにし、さらに使用後には必ず冷蔵庫に入れて、(または1回分の使い切りサイズにするという方法もありますが、非常に高額な商品になりそうです。)とのこと。
確かに、自宅で手作りした食品をハブラシですくった後に常温で放置したら…と考えると、とても口に入れる気になりませんね。

歯磨き粉は食べるものではないので、成分のすべてが人体に取り込まれるものではありません
粘膜から吸収される可能性も考えられますが、まるごと食べるよりもずっと、吸収量は少なくなります。歯磨き粉の防腐剤をどう捉えるかは人それぞれです。使い勝手とのバランスを考えて選ぶと良いかと思います。

研磨剤

「歯磨き粉で磨くと歯がすり減る」と言う人がいます。
では市販の歯磨き粉を使ってどのくらい歯を磨くとすり減るのか、
という実験結果もあります。それによると通常の歯ブラシで3分、電動歯ブラシで1~2分を毎日3回やる程度では問題が起こるほど歯がすり減ることはない、とのことです。

もちろん、毎回30分も1時間も力いっぱい磨き続ける人は別ですが、普通に使う範囲では歯に害を及ぼすものではありません。研磨剤の入っていない歯磨き粉や、水だけで磨く場合、歯の表面に着色汚れが付きやすくなります。
着色してしまったら歯科医院でクリーニングをするしかありません。
その際にはもっと大きな粒で研磨されてしまう可能性もあります。

近頃は、歯に優しいカルシウムなどの結晶を高圧で吹き付けて汚れを飛ばす方法もあります。
歯の表面が着色してきたけれど、研磨剤には抵抗があるという方には一度歯科医院に相談してみることをお勧めします。

歯磨き粉の化学物質 まとめ

歯磨き粉に含まれる成分には、汚れを落ちやすくしてくれる界面活性剤、泡立ちをよくする発泡剤、防腐剤、研磨剤などが含まれています。
それぞれの成分にはメリットがありますがその反面「化学物質を口に入れるなんて」と抵抗を感じる方がいらっしゃるのも事実です。

成分のメリットを重視するか、排除するかは人それぞれですが、
歯科医師の立場から言えばデメリットよりもメリットの方が大きいと感じています。
それでも心配な方は、化学成分が無添加の歯磨き粉も販売されているので試してみると良いかもしれませんね。

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